幼い頃は背も高く身体も細い方だった私ですが、小学校高学年になり縦への成長が止まるとほぼ同時、急に食に目覚め、食欲旺盛になりました。男子に交じって給食のおかわり争奪戦は当たり前、部活で持参したお弁当は三段重ねという食生活を重ねた結果、見事に横に成長したころころ体型になっていたのです。そんな自分の姿を悩まない訳ではありませんでしたが、中学校までは色気より食い気だった為、ダイエットに関しては殆ど考えた事すらありませんでした。
高校生になり、スタイルが良く可愛いクラスメイトを眺めていて、やっと自分の体系に恥じらいを持ち始めましたが、太っているとは言え、ものすごくという程ではない所謂「ちょっとぽっちゃり」レベルだった為か、街中を走ってみるなど多少運動を増やした所で、せいぜい100グラム程度しか変化なし。相変わらず食べる事は好きだった為、食事の量を制限するという考えは全くありませんでした。恥じらいが生まれつつも、やはりそこまで深刻には捉えていなかった事と、何より母から「その時がきたら勝手に痩せるものよ」の言葉に甘え、結果、高校を卒業する時もぽっちゃりのままでした。
しかし思いがけない変化が表れたのは、大学に入ってすぐの健康診断の時です。あれだけ、といえる程真面目に取り組んだ記憶はありませんが、何をしても変化のなかった体重が、何と3キロも減っていたのです。実に9年ぶりの40キロ代でした。そこで喜びと共に生じた疑問は当然「なぜ?」です。特に運動した訳でも食事制限した訳でも専用サプリメントを摂った訳でもありません。唯一思いついたのが、高校卒業してから大学入学までの「1か月ひきこもり生活」でした。
小説を書くのが長年趣味だった私は、大学入学まで与えられたその期間、これ幸いとひたすら趣味に没頭し続けました。朝起きたらパソコンの前に座り書き続け、空腹を感じたら止めてご飯を食べ、またパソコンの前に戻り書き続け、そして夜になり眠気を感じたら眠る、という自堕落の極みのような生活を1か月していたのです。逆に太りそうな生活なのではと自分でも思いますが、それしか思い浮かばない為、私はその1か月の引きこもり生活が、マイナス3キロ・夢の40キロ代をもたらしてくれたと信じています。